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この本は、スティーブ・ウォズニアクの様な電子回路設計の神様でもなく、ビル・アトキンソンの様なプログラミングの天才でもなかったスティーブ・ジョブズが、成功と挫折を繰り返しながら、如何にして現在最も賞賛されるCEOとなったかについて、昔から彼の近くにいた著者達による綿密な取材に基いて書かれた素晴らしい本である。
ちなみに原著の『iCon』というタイトルには、Macが採用したグラフィック・ユーザー・インターフェースを象徴する『アイコン』と、偶像を意味する『イコン』の二つの意味が込められている。
マスコミは、ジョブズについて、そのプレゼンのうまさ、素早い判断力、デザインセンスなど良い面ばかりを採り上げることが多い。だが、この本を読めば、彼が如何にわがままで、気難しく、傲慢で、人の成果を横取りしたがる、金にもケチな人間であったかということがわかる。つまり最も友人や恋人にはしたくないタイプの人間なのだ。
だがそういう彼が、ひとたびApple社でMacintoshを作ろうと思い立つや、まわりの人間は、無理だと頭ではわかっているのに、彼にのせられてしまい、どうしても一緒に実現したいという気持ちにさせられてしまう不思議なカリスマ性を発揮するのである。
先に挙げた彼の人間臭さは、そのカリスマ性にもかかわらず、彼を身近な人間として感じさせるよい効果を与えており、この本を読んだ者はますます彼の事が好きになってしまうのである。この本はMacやiPodのユーザーでなくとも十分に楽しめる本だ。
彼の成功の歴史をたどることは、私がApple教にお布施を捧げ続けたこの四半世紀の歴史をたどることでもある。よくもまあ宗旨替えせずに信じ続けているものだと、我ながら感心する。
ついでながら、この本の装丁がまた素晴らしい。黒いバックに浮かぶAppleのマークとジョブズの姿、そして黄緑色で書かれた『iCon』『Steve Jobs』の文字。これを見ただけで買って読まずにはいられないドキドキした気持ちにさせる不思議な力を持った装丁なのだ。










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