シンガポールのリー・シェンロン首相が8月9日のNational Dayの大会で行った記念スピーチをPodcastで聴いた。これは毎年行われているものだが、今年はシンガポールがマレーシアから独立してちょうど40年の節目に当たる為、力の入ったものであったようだ。
首相のプロフィールはこちら。昨年のスピーチは、首相に就任したばかりであり、自分の色を出すのは難しかったと思われるが、今年はかなり面白いものになっていた。
スピーチはまず国語のマレー語で行われた。国民の大多数を占める華人の内、一体何%がマレー語を解するのかわからないが、彼は流暢にマレー語で13分間演説した。その後マンダリン(北京語)によるスピーチを26分間行なった。
そしてメインである英語のスピーチを開始した。張りのあるしっかりとした声で、たびたびジョークを交え、ビデオなどを織り交ぜながら一時間半ほど演説したのだが、まるでApple社のスティーブ・ジョブスを彷彿させるような見事な話しっぷりだった。
今年は経済発展、教育、発想の転換、活力ある国造りがテーマとなっている。
まず昨年12月にインドネシアで起きた地震の話に触れ、いかにシンガポールの救助隊が素早く到着し、感謝されたかという話で始まった。素早い意志判断と行動ができるというのは、小国ならではの強みである。そして近隣のイスラム諸国との関係が改善していることを強調した。確かに彼が首相になって以来、近隣諸国との関係改善が進んでいるように見える。
経済発展に関して、Philips、Samsung、Sonyの三社を引き合いに出し、Reserch & Developmentの重要性を話すくだりが印象深かった。
「Philipsは医療用機器などの高付加価値製品にシフトし、高いマージンを稼ぐようになった。Samsungは新しい機能の付いた画期的な携帯電話を次々を生み出しており、世界で大きなシェアを獲得した。それに引き替えソニーは薄利多売の商品を作り出すばかりで、苦境に陥っている。R&Dがいかに大切かということだ。」というものだ。8月初めの時点で既にSonyはアジアから見ても問題大ありの企業という位置づけになっている。
そして、話は今までのアカデミックな大学偏重の考えを改め、より実務に根ざしたPolytechnic(工科専門学校)とIT専門学校をもっと重要視しようという流れになる。
その他高齢化の問題、所得格差の拡大の問題、年金の問題など、日本と共通する話も多く興味深い。
面白そうだと思われた方は、サマライズされたMP3ファイルをお聞き頂くか、全文掲載ページをご覧頂きたい。
生まれた時からリーダーシップを身につけることを当然視されてきたリー氏だが、もう誰も「世襲だ」と批判する人はいないだろう。もし将来EUの様な東南アジア共同体ができるとしたら、間違いなく彼が共同体代表の第一候補だ。
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