伊藤洋一氏が、5月23日付のご自分の日記の中で、元外務官僚の書いた『国家の罠』という本を取り上げておられた。
著者の佐藤優氏というのは、あの『ムネオ疑惑』によって、鈴木宗男氏と一緒に逮捕された人物である。佐藤氏は、「一連の事件は『時代のけじめ』を作るために、『作られた疑惑』に基づいて行なわれた『国策捜査』であり、自分たちはその犠牲になった」と主張しているそうだ。
『時代のけじめ』・『作られた疑惑』・『国策捜査』という言葉を見ていて、私はふと、先週末のニュースのことを思い出した。
記事のタイトルは『旧長銀の違法配当事件、民事は“無罪”判決』というものである。
事件の中身は、旧長銀の元取締役8人が、関連ノンバンク向けの不良債権等に対して、必要な引当金を積まずに利益を水増しし、97年9月期と98年3月期に、142億円を違法に配当に回したとして、旧長銀から裁判の権利を引き継いだ整理回収機構等が、10億円の損害賠償を求める民事訴訟を行なっていたものである。
東京地裁の裁判長は
- 「当時の経営陣は従来基準に沿った判断をしており責任はない」
- 「(前年度に通達として出された)不良債権処理の新基準は、大幅な変更があったにもかかわらず、新基準の周知徹底が図られていなかった」
- 「違法配当の意図があったとするには無理がある」
- 「経営者として企業の維持・存続のため、銀行にとって有利な資産査定をしたこと自体はやむを得ず、当時の監査法人も許容範囲と認めていた」
などと述べて、整理回収機構側の請求を棄却した。
刑事事件については、東京地裁が2002年9月に有罪の判決を下したが、今回の民事事件の判決は、来月21日に予定されている東京高裁での刑事事件の控訴審の判決に、どの様に影響するのだろうか。
違法配当について、ここで私がとやかく述べるつもりも、力量も持ち合わせてはいない。いずれ磯崎氏がご自分のブログで、法律的・会計的に丁寧に解説して下さるのではないかと期待している。
伊藤氏が日記の中で、「日本においては(中略)逮捕されたという事実が一種の判決になっていて被逮捕者は社会的制裁を受け、法的な判決が出たときには世間の関心も冷めて、マスコミでも「もう過去の事件のことなのですが…」という形で報じられることが多い。それでいいのか、という思いはある。」と嘆いておられるが、その通りだと思う。
それでもやはり、ここは一つ司法の良心に期待したい。








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