『靖国問題』 高橋 哲哉

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重い話に入る前に、軽いクイズから。

1.靖国神社は創建当時招魂社と呼ばれていたが、東京招魂社が九段の地に創建されたのはいつのことか。
  • a.昭和20年 (第二次世界大戦後)

  • b.明治38年 (日露戦争後)

  • c.明治2年 (戊辰戦争後)

正解は c である。戊辰戦争で朝廷側について死んだ人を祭ったのが始まりだ。

2.乃木大将と東郷元帥、靖国神社に祀られているのはどちらか。
  • a.乃木大将

  • b.東郷元帥

  • c.どちらも祀られていない

正解は c である。本来『戦地で死んだ人』以外を祀る神社ではなかった。

3.それぞれの戦死者を靖国神社へ祀るか祀らないかを決めたのは誰か。
  • a.遺族

  • b.政府

  • c.靖国神社

正解は c である。遺族が合祀の取り下げを求めても靖国神社は受け入れようとしない。

一時期訳あって毎朝靖国神社の参道を通っていたのだが、神社について私は何も知らなかった。知らなかったというよりあえて距離をとっていた様に思う。ところが最近急に靖国神社の事が気になって、手当たり次第に沢山の本を読んだ。

本を読む前の私の考えは、「A級戦犯だけを合祀の対象から外し、靖国神社を国が管理する戦没者追悼施設に変えるのがよい」というものであった。だが色々と調べていく内にその考えは正しくないという気持ちに傾いていった。

『靖国神社』というのは、『戦死者に英霊となる栄誉を与えること』によって、戦場で国の為に死ぬことを、『死んでいく本人及び遺される家族の両方に、それぞれ哲学的、宗教的に納得させる為の、国が作り上げたシステム』であった。いわばこの神社そのものがスーパーA級戦犯であって、たとえA級戦犯だけを合祀の対象から外したからといって、その罪が減じられるものではないのである。

中国は今はA級戦犯だけを問題にしている様に見える。しかしながら、神社本来の意味を考えると、A級戦犯を外した後、次はB級、C級を外せ、更には神社そのものをなくせと行ってきても全くおかしくないのである。

現在の靖国神社は宗教法人である。これをもし国が全てを管轄する独立行政法人に変えたとすると、どうなるだろうか。そうなれば、国が国民に対して一律戦没者に対して尊敬の念を持つ様に強制する事になりかねない。これは正に戦前・戦中の国家神道と変りがないものとなってしまう恐れがある。

更に危惧されるのが、今後海外への治安維持の為に派遣され、命を落とした自衛官達を新たに祀るという話に繋がりかねないということだ。

靖国問題
高橋 哲哉
4480062327靖国神社に関する本は、Amozonを検索すると山程ある。右の立場から書いたものや、左の立場から書いたものまで色々なものがあるが、その中で、最も偏らずに書いた本が、最新刊のこの本であろう。

この本の中で最も印象に残ったのは、筆者が引用した「戦う国家とは祀る国家である。」という子安宣邦の言葉である。筆者はそれを「祀る国家とは戦う国家である。」と言い換えている。

つまり神社でお祀りをするということは、他者との戦争を前提に置いているのであり、戦争で死んだ戦士が祟ってこない様に、手厚く弔うということなのである。

私の曾祖父は日露戦争に出征し、満州で戦争中に落馬して死んだと聞いていた。父に、「ひいじいさんは靖国神社に祀られているのかい。」と聞いたところ、父も知らず、本家の人たちも知らなかった。

父が先日靖国神社に行って、合祀者の名前を確認したところ、曾祖父の名前が見つかったと連絡してきた。

所詮そんなものなのである。第二次世界大戦で亡くなった人の近親者がそろそろこの世から消えていく時代になった。私は靖国神社を国が管理する戦没者追悼施設にするのではなく、このまま純粋に宗教法人として存続させ、自然に風化させて、訪れる人がいなくなるようになるのが、理想ではないかと考えている。

靖国
坪内 祐三
4101226318靖国に関する本は沢山あるが、この本は他の本とは異なり、文学や芸術、大相撲の中に現れた『靖国』というものを、文化史的な観点から描いた本である。今灯篭の並ぶ参道が競馬場であったことや、戦後GHQがやってきた頃に、靖国神社の周りを映画館の並ぶアミューズメントパークにする構想が日本人から提案されたことなども書かれており、それなりに面白かった。

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はろーあっぷこむ - 今日もいい日で (2006年3月10日 19:53)

こんにちは。興味深く読ませていただきました。 続きを読む

コメント(5)

早速TBいただき有難うございました。
もう1冊読みましたのでこちらからもTBさせていただきました。

おじゃまします。

高橋哲哉氏の靖国本ですが、私には左傾のように感じました。戦没者の遺族が極端すぎるサンプルを持ち出して語っているからです。また、高金素梅さんなどを台湾戦没者の代表例として扱っていることに恣意的なものを感じます。
特攻隊員を始めとした戦没者の遺言からは、靖国に祀られることを名誉とするというより、遺体もないから靖国に祀られていますよ、とクールなとらえ方が目立ちます。そもそも、高橋氏の考え方は、「徹底非武装の平和主義」ですから。
また、宗教的観点からすると、非業の死を遂げたものがとじこめておかなければ、霊が悪さしてしまうので、靖国神社にまとめて祀る必要もあったようです。

という私も、色々と本を読んでいますが、明快な回答は用意していません。

こんにちは。
個人的な意見になりますが前々からの疑問なんですが
乃木大将は靖国には祀られず乃木神社に祀られていますが、東郷元帥は靖国には祀られずに何処に祀られているのでしょうか??
というか、上記の2冊を読みましたがいま一つ靖国の
必要性が分かりません。
当時の人達にとって靖国に祀られることがそんなに名誉な事だったのでしょうか??
私にはそう考えられません。
上に書いてあった通り第二次世界大戦体験者の近親者
たちが少なくなり自然に風化していってしまう事を私も望んでしまいます。
当時の人達が安らかになれることを望んでしまいました。

コロコモさんへ
東郷平八郎は戦場ではなく、86歳で天寿を全うされた為、靖国神社には祀られず、代わりに東京都渋谷区と福岡県宗像郡津屋崎町(現福津市)に建立された東郷神社に祀られているそうです。

こんにちは。
またまたお邪魔させていただいています。
そうなんですか。有難うございます。
私は今靖国について調べていて疑問に思ったことを書き込ませていただきました。
乃木大将が乃木神社に祀られているのは私の両親がそこで結婚したのもあって知っていましたが東郷元帥に関してはまったく無知でしたので上記のことを教えてくだっさて有難うございました。

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このページは、durianが2005年6月17日 01:16に書いたブログ記事です。

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