| 腐蝕の王国 (下) | |
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整理券は100人以上に配られたであろうか。私が江上氏とお話しするまでに、1時間半位かかった。
地下一階まで延々と並んでいた人たちの多くは、一目で銀行員ではないかとわかる風体をしていた。女性も真面目なOL風の人が多かった。
多くは江上氏のかつての同僚の方であろう。お互い顔見知りの方が結構いたように思う。ただ皆が地味なダークスーツを着ていたことと、久方ぶりの再会を祝うあいさつや、かつて江上氏と一緒に働いた時の思い出話をしているのを聞いていると、例えは悪いが、まるで弔問客の行列のようでもあった。
この小説の下巻のテーマは『裏切り』である。それは組織への裏切りであったり、ボスへの裏切りであったりする。
私のかつての同僚達の多くが、会社を辞めて、別の会社へと転職していった。それは組織に対する一つの裏切りでもある。しかしながら、転職せずに、自我をダークスーツの中に押し殺して従来の会社に勤め続けることもまた、『自分の信念に対する裏切り』であるようにも思える。
行列に並ぶ人々の姿が弔問客の様に見えた理由の一つは、その人たちの中に『後者の裏切り』が感じられたからかもしれない。
この本のモチーフともなっている、ラファエロの『聖母子と子供の洗礼者ヨハネ』の本物を、是非見てみたいと思った。







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