長野県建設業厚生年金基金の理事長が、逃亡先のタイで身柄を拘束された。
罪状は、厚生年金基金の金を24億円も使い込んだというものである。
タイでどうやったらそんな大金を使い切ることができるのだろうかと訝しんだが、どうやら
タイに逃亡する前に六本木や銀座で使い込んだらしい。
それにしてもそんな大金を全て使うなんてできるのだろうか。
厚生年金基金というのは、サラリーマンの三階建部分の年金である。
一階が国民年金、二階が厚生年金で、いずれも国が運用する。
三階の厚生年金基金は、二階の厚生年金を国に代わって代行運用する。
景気が良かった頃は、国と約束した利回りを上回る部分を基金に組み入れることができたが、失われた20年の間に、代行部分は逆ザヤとなった。
それを補填する体力のある大企業は、代行運用を返上し、厚生年金基金から企業年金基金等に移行した。
よって未だに厚生年金基金を運営しているのは、地域別、業界別の中小企業の集まりのみになっている。
基金の理事長や理事は、同業者の社長達が務めており、証券運用業務の門外漢ばかり。
ということで、雇われ理事長が幅を利かすこととなる。
しかし、今回捕まった理事長の年収は300万円台ということを聞いて驚いた。
200億円の資金運用を任せるのに、そんな安月給の人物を充てるのは危険極まりない。
人の金に手を付ける恐れがないよう、十分な報酬を与えるべきだ。
それにしても、あてにしていた三階部分の年金を失った長野県の建設会社の社員は浮かばれない。