『魔都上海に生きた女間諜』高橋信也著

魔都上海に生きた女間諜-鄭蘋如(テンピンルー)の伝説 1914-1940 (平凡社新書596) 魔都上海に生きた女間諜-鄭蘋如(テンピンルー)の伝説 1914-1940 (平凡社新書596)
高橋 信也

平凡社 2011-07-16
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副題を『鄭蘋如の伝説 1914-1940』とするこの新書を読了。

第二次世界大戦勃発直前,重慶に居を移した国民党政府のスパイとなり,日本軍に協力する上海の特務機関『ジェスフィールド76号』のボス丁黙邨の愛人になり済まし,『丁黙邨暗殺未遂事件』の手引きをした日中混血の聡明な女性鄭蘋如(テン・ピンルー)について,史実を踏まえて再評価した本である。

著者はかつてセゾングループの美術館に関わり,現在は某デベロッパーで六本木の美術館の経営を担当する高橋信也氏である。

実はこの本を読み始めるまで、鄭蘋如が、2007年ベネチア国際映画祭でグランプリの『金獅子賞』を獲得した、映画『ラスト、コーション(色|戒)』の主人公のモデルであるとは気付かなかった。

鄭蘋如は,日本の陸軍が進めようとしていた汪兆銘傀儡政権による中国掌握を邪魔するスパイとして、当事の日本の関係者達によって『重慶の白蛇』という汚名を着せられた。

本書は史実を積み重ね,彼女の本質について再評価を図らんとしたもので有る。

70数年前の史実ではあるが,そのストーリーは決して色褪せてはいない。

戦後の平和な時代に生まれた幸せは噛み締めつつも、大戦前の上海で生きた人々の事を羨ましく思ったりする。

もし私がその時代に生きていたならば,一体どの役回りを担うことになっただろう。

憲兵隊か軍隊か。はたまた東亜同文書院の留学生か。

夏休みの一冊として選んだ本だが、満足させてくれた。

ところで,私の調べる限り鄭という性を『テン』と発音する中国語方言は無い。

名前の『蘋如』をマンダリンの『ピンルー』と表すならば,姓は当然『ジェン』と表記すべきだろう。

何故彼女の名前が『テン・ピンルー』と呼ばれる事になったのか、ご存知の方は教えて欲しい。

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