『放射能で首都圏消滅』

放射能で首都圏消滅―誰も知らない震災対策 放射能で首都圏消滅―誰も知らない震災対策
古長谷 稔 食品と暮らしの安全基金

三五館 2006-04
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3.11の大地震が起きた後、Amazonで急にランキング上位に現れたこの本を購入してみた。

この本は、2006年に国会議員の元秘書によって書かれた、中部電力浜岡原発の原発震災の危険性を分かり易く説明した本である。

浜岡原発が東海地震の震源域の真上にあるにもかかわらず、1970年に中電が浜岡に原発設置を申請したあと、わずか7ヶ月で原子力委員会で設置の可否が検討されたが、東海地震の専門家に一度も意見を求められたことがなかった事が書かれている。

そもそもアメリカのGEで設計された原子炉は、直下型地震がある場所での設置を想定しておらず、設計や施工において直下型地震を考慮していないとか。

日本に来て初めて震度4の地震を経験したGEの米国人社員が、「なんだ今のは?地面が揺れたぞ!」と大声で叫んだという元GEの日本人社員(福島第一原発6号機の現場調整役)のエピソードも紹介されているが、今となっては笑えない。

原子炉の施設中でもっとももろいのは、冷却の為の配管システムであることも指摘している。

中部電力が前提としている津波は6mであるが、すぐ近くの御前崎港で予測されている津波の高さが8.1mであること、津波により配管が破壊されれば原発が制御不能になるという指摘もしている。スマトラ沖地震クラスの津波に備えよとも。

地震で冷却水の配管が破断した場合、別系統で水を供給する仕組みになっているが、それは耐震基準が低いので地震で壊れる恐れが高いとも。

同原発の耐震基準は600ガルを想定しているそうだ。(岩盤上では地表よりも揺れが1/2〜1/3となると言われている。)国の想定では浜岡付近の揺れは395ガルだが、場所によっては1000ガル近くに達するとの結果が出ていることを危惧している。新潟県中越地震では2515ガルが観測されていることも取り上げている。ちなみに今回の大地震の最大加速度は、2933ガルであった。

また1カ所に複数の原発を設置することの問題点も指摘している。国は地震で同時に複数の原子炉が事故に遭うことを想定しておらず、もしそうなったら作業員に避難命令が出て近づくことができず、次々と事態が悪化するのではないかとも。

炉心溶融についても詳しい図解でその過程の説明があるが、事態は正にその図解の順番通りとなっている。

恐らく2006年当時は、この本はいたずらに国民の不安を煽るトンデモ本として取り扱われたりしたのだろう。だが、福島では現実がこの本に追い付いてしまった。

中学生でも読めるようにやさしく書かれた本だが、国や政治家や電力会社が書かれていることを真剣に考えていれば、今回の様な事故は無かったのではなかろうか。大地震は予知できないが、大地震が起きたときどうなるかは、想定の範囲内であったのだから。

この本には放射能がなぜ危険であるのかと言うことや、原発震災が起きた時、どの様に逃げればよいのか、もしくは家に閉じこもれば良いのか、何を準備しておく必要があるのかなどについても、丁寧に説明がなされている。

こんな事も書かれていた。

地震の後、原発で事故が起こっても、政府や行政、電力会社から放射能に関しての正しい情報はすぐには出ない、と考えておくのがいいでしょう。

一部の専門家がマスコミで指摘し、それから長い会議を開いてやっと公開するのが過去のパターンです。

正にその通りではないか。

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